キログラムの定義が変わった日
2018年11月16日にキログラムの定義を変更することが CGPM (国際度量衡総会)で可決され, 本日2019年5月20日により全世界的に施行されることとなった.
いままでのキログラムの定義は次のように物質に依存する定義であった。
- 水1リットルの重量
- 大気圧下で氷が溶けつつある温度における水1リットルの重量
- 最大密度(液温摂氏4度)における蒸留水1立方デシメートル(1リットル)の質量
- アルシーブ原器 (有体に言うと白金塊) の質量
- IPK (国際キログラム原器: 白金とイリジウムの合金)の質量
水はいろんなものを自然に溶かし込むし、金属も徐々にいろんなものを吸着して変質するので不変で安定したものというにははばかられた.
それでもIPKは誤差1億分の5という精度ではあったが, 近年の科学技術の発達により, これでも精度は足りないという状況であった.
今回の改訂は, 特殊相対性理論から得られた式 E=mc2 と光子エネルギーの式 E=hν から m=hν/c2 を得るので, 今までは実験値であったプランク定数を真の意味で定数とすることにより キログラムが定義されるということになる。
ただ, この定義に至る裏側で, 日本やドイツを中心とする科学者たちは (IPKと比べれば)手軽に作成できる原器を作り, その精度を裏付ける役割を担った. その原器はケイ素(シリコン)結晶である. このあたりの話は産業技術総合研究所のウェブサイトが詳しい.