第 28 回全国高等学校クイズ選手権 所感

第 28 回全国高等学校クイズ選手権を視聴.
感想を述べる前に昨年放送分に対する私の感想を再掲.

全体的にクイズの分量が多くて満足.
次回があればもう少しクイズの質を上げて欲しい.
そうすれば参加する側も見る側も楽しくなるだろうから.

クイズそのものは見ごたえのある内容だったけど…
ジャンルが学問に偏りすぎ.
個人的には数学の問題を出したことは評価するが,
もっと雑多なジャンルに触れるべきであろう.
今回そういったことを避けたのは,
最近の時事・芸能・スポーツ関係を出題ネタにすると著作権等の問題が絡んで厄介だからなのだろうか…

昨年の準決勝はちょっと考えさせるパズルでとっつきやすかったが,
今年の準決勝は大学入学試験とほとんど変わらず,
しかも編集のせいで視聴者にリアルタイムで考えさせる時間がほとんどなかった.
追記に解法を書いておくが,
テレビで編集に困るような出題をするくらいなら出題方針をもうちょっと考えておくべきではないだろうか.

決勝戦の回答者のレベルが高かったが,
なぜそこで回答にたどり着けるかを理解できないと見ている側はついていけないだろう
(番組中に第 13 回ウルトラクイズの優勝者・準優勝者が解説をしていたが).
粒の大きさによりのフレーズのみでキャビアと答えるとか,
洒落になってないし…

総括として, 確かにクイズのレベルは高かった.
ただし, レベルが高かったのは回答者であって出題者ではない.
そんな印象.
来年もこの番組は続くのだろうか…

さて, 準決勝の問題は本放送中には考える時間がほとんど取れなかったが,
自分で後から解いてみた.

1 から 90 までの整数が書かれた札が 1 枚ずつある.
これらの札から連続した数が含まれないように 5 枚を選ぶ方法は何通りか.

典型的な分割数の問題. 計算量の都合から, 問題文中の札の総数をもうちょっと小さい数にするか,
適当な代数 n にすると入学試験問題としては都合がいい.
南山大学あたりが好んで出題しそうな問題である.
回答としてはおおよそ次のような考えで進めるとよい.

連続した数が含まれる場合の数を単純に 5 枚選ぶ場合の数から引く方法は,
連続した 2 数が 2 組含まれる場合を考えると非常に厄介な取扱になるので問題を次のように読み替える.

取り出した札の数を a1, …,
a5 とする. (ただし, i<j ならば
ai<aj).
ここで, 1≤n≤4 のとき,
an+1=an+kn
と表現できる (kn≥2).
ここで, a1 = k0 とするならば,
9≤Σn=04kn≤90 となる.
このままではまだ各 kn の条件がそろっていないため,
ln=kn-2 (n≥1),
l0=k0-1 とすることで,
0≤Σn=04ln≤81.
(ln は負でない整数) とすることができる.
この条件を満たす負でない整数の組 ln の数は,
(81+5)C5 となる. これを計算すると
86C5=34826302

水深 1000 [m3] の海が干上がったとき,
海水に含まれる塩分によって生成される岩塩の厚みはどれくらいになると予想されるか.
ただし, 海水 1 [リットル] 中に含まれる塩分は 35 [g],
塩の密度を 2.5 [g/cm3]とする.

断面積 S [m2] を持つ海水柱を考える.
この海水柱の体積は 1000S [m3]となるから,
この体積を [リットル] に換算すると
1000S × 1000 = 106S [リットル]
となる. 海水 1 [リットル] 中に含まれる塩分は 35 [g] であるから,
海水柱に含まれる塩分は 35 × 106S [g] となる.
この塩分の重さを密度で割ることで塩の体積を算出できる,
塩の体積は, 35 × 106S ÷ 2.5
= 14 × 106S [cm3]
これを立方メートルに換算すると 14 × 106S × 10-6 =
14S [m3] となり,
断面積 S で割ることにより岩塩の厚み 14 [m] が求められる.

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