角度の評価

某所にて, (要約すると)ArcTan(5/12) および ArcTan(3/4) を度数法で表せ(小数以下切り捨て) なる問題を出題した. そのときは円周率 π が 333/106<π<355/113 と近似できるというヒントを付けた.

これと, sin(x)<x<tan(x) (第1象限の角に限る) という大小関係をうまく用いてもらい, 適当な評価をしてもらう算段でいた.

実際に, sin(x)=S, tan(x)=T は正確に求められる状況であり, π1<π<π2 という条件を与えれば, x [rad]= θ [deg] という関係においては 180S/π2<θ<180T/π1 という関係が成り立つ.

ただ, この評価方法は0°<θ<15° 程度でないと大雑把すぎるので, 4倍角や5倍角の正弦や正接を計算させる必要があった。

ところが, 必要であれば2倍角の計算をすればいいようなもっといい近似方法があったようだ. 屈折率の式でおなじみのヴィレブロルト・スネルが見出した式である, 3sin(x)/(2+cos(x))<x<(2sin(x)+tan(x))/3 である (以降, この不等式の左辺をL, 右辺をUとする).

これにより、角度の評価は 180L/π2<θ<180U/π1 となる.

何といっても, その誤差は x5に比例するということが大きいし係数も小さい.

下限の比較では sin(x)=x-x3/6+Ο(x5) に対し, 3sin(x)/(2+cos(x))=x-x5/180+Ο(x7) となり, 上限の比較では tan(x)=x+x3/3+Ο(x5) に対し, (2sin(x)+tan(x))/3=x+x5/20+Ο(x7) となる。

この方法で当初の問題を解いてみると…

θ=ArcTan(5/12) のとき, 15/38<ArcTan(5/12)<185/468 は度数法ではこの時点で15900/703<θ<20905/923 と評価できる. この時点で小数第1位まで確定する. (θ=22.6…°)

θ=ArcTan(3/4) のとき, 9/14<θ<13/20 は度数法ではこの時点で9540/259<θ<13221/355 と評価できる. ざっと, θ=37°±0.1° といったところか.

さらに2倍角の公式で得た角と直角との差を評価すると 21/74<π/2-2Arctan(3/4)<511/1800 となり, 122767/3330<θ<50475/1369 を得る. なんと, これで小数第2位まで確定する (θ=36.86…°)

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