中学生将棋棋士の誕生

将棋界に新風が吹き荒れる. 久々の中学生棋士の誕生だ.

現行の制度でプロ棋士になるためには原則として新進棋士奨励会に入会し (入会するだけでもアマチュア三段程度の棋力が必須であり, それでも新進棋士奨励会では 6 級相当である.), 既定の勝ち星を挙げて三段に昇段することで三段リーグに編入され, 半年かけて行われる三段リーグで上位 2 名に入賞 (あるいは 3 位を 2 回獲得) する必要がある. なお, この条件を満たすことによって翌半期の1日付(毎年 4 月 1 日または 10 月 1 日)で四段昇段, プロ棋士となる. なお, 三段リーグを一定の年齢になる前に勝ち抜けることができなければ新進棋士奨励会は退会する規定となっており, その年齢制限に泣いた者もいる. 瀬川晶司五段, 今泉健司四段は年齢制限で新進棋士奨励会を退会することになったが, 三段リーグを勝ち抜けるよりも難しいとされる編入試験を突破 (現役のプロ棋士相手に勝ち越しを決める) してプロ棋士となった. そのような例は大昔に遡っても一例あったのみである (花村元司九段・編入時は五段).

前置きが長くなったが, 今期の三段リーグで見事優勝したのは中学生の藤井聡太三段である. 現行の制度で中学生棋士となったのは渡辺明竜王以来 2 人目である. 渡辺明竜王が実際に昇段したのは高校入学と同時であったことから, 本当の意味で中学生棋士となったのは初である. 過去に加藤一二三九段 (元名人), 谷川浩二九段 (十七世名人有資格者), 羽生善治三冠 (タイトル永世六冠および名誉NHK杯選手権者) が中学生棋士となったが, 加藤一二三九段の時はリーグ戦の人数がずっと少なく, 谷川浩二九段, 羽生善治三冠は既定の勝星(9連勝あるいはいいところ取りで13勝4敗)をあげることによる昇段であった. これらの条件よりも, 三段リーグを突破する方が難易度が高いといわれている.

渡辺明竜王を含む中学生棋士は, 後に名人, 竜王といったタイトルを手にしている. 藤井聡太新四段も遺憾なく才能を発揮し, タイトルを取るまでになるだろう. なお, 藤井聡太新四段は詰将棋の回答者としてもかなり名を知られており, 詰将棋解答選手権チャンピオン戦で優勝した経験がある. 終盤の腕力は相当のものであろう.

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